【感想】映画『彼女は夢で踊る』

※この記事は、2019年7月16日にツイッターに書いた感想を再編集したものです。

ネタバレ無理な方は回避してください。

彼女は夢で踊る

加藤雅也 │ 犬飼貴丈 │ 岡村いずみ │ 横山雄二 │ 矢沢ようこ

監督時川英之

2019年7月15日より広島県の横川シネマで公開

同月26日より同県福山駅前シネマモードで公開

2020年全国順次公開予定

（2019年7月15日鑑賞 at横川シネマ）

犬飼くんは、2017年の目標として雑誌インタビューにこのように答えています。

「ひたすらお芝居がしたい！この3年間は、そのための準備期間だったんだなって思えるくらいにさ」*1

『彼女は夢で踊る』の撮影は2017年の3月後半*2で、撮影期間は9日間*3。

制作日数の短い作品は、それが透けて見える事がありますが、この作品は本当に密度が濃く、そんな事を感じさせません。

上映時間は95分。その中には木下信太郎(演：加藤雅也/ 犬飼貴丈)の過ごしてきた年月がしっかりと詰まっていました。

どのようなストーリーなのかは、予告映像をご覧ください。

【公式】映画『彼女は夢で踊る』予告編

鑑賞前にロケ地を観てきたというのもあり、現実に存在している街で展開していくストーリーは、役者さん達のナチュラルな演技でドキュメンタリーを観ている気分です。広島の実際の風景をそのまま使った故のリアリティ。とにかくその世界に入り込めます。朝焼けの海沿いシーンなど風景も素敵。何せ映像が美しいのです。

何度も過去と現在の交錯がありますが、何の違和感もなく観ていられます。これって本当に凄いと思います。

f:id:ia94:20190728022702j:plain — 朝焼けのダンスシーンのロケ地

恋愛作品に限ったことではありませんが、見る側の経験値によって作品の受け取り方は大きく変わります。

信太郎が持っている純粋さが、私にはグサッときて更に抉られて。初見の印象は、“呪縛”だなぁって感じました。けれど、信太郎は大切な場所を守りたいだけで、過去の信太郎も現在の信太郎も瞳がきらきらしていて、とても真っ直ぐな人。

サラ役の岡村いずみさんのダンスシーンは本職かと見紛う完成度で、小柄で少女のようなヴィジュアルでありながら女性の身体の美しさを魅せていて、本当に見惚れます。きらりと映る汗に、そこにサラが懸命に生きているという事を感じさせます。

ラストシーンについて、加藤雅也さんが初日舞台挨拶で、「敢えてリズムを外して時代に抗ってるのを表現している」(記憶が曖昧なので多少の違いは御容赦を)とおっしゃっていたのでそこも見所。

f:id:ia94:20190728023219j:plain — 初日舞台挨拶の様子（撮影・掲載OKでした）

初回、2回目、3回目で感じ方が全く変わる、深みのある作品です。年齢を重ねてから再度観たら、また印象が変わると思うのでそれも楽しみです。

気が早いですが、是非円盤を出して欲しいです。ディレクターズカット版切望です。*4

加藤雅也さんが犬飼くんを推してくださったのは、単に後輩だからという事ではない*5のは、観ればすぐにわかります。

こちらは時川監督がツイートされたエピソードです。

映画「彼女は夢で踊る」で重要な役を演じてもらった犬飼貴丈さん。撮影は彼が仮面ライダービルドになるもっと前。加藤雅也さんから「凄い良い若手がいるから会ってみて」と言われ、犬飼さんに事務所で初めてお会いして脚本を読んでもらった。正直、彼の俳優としてのセンスに僕は驚きを隠せなかった pic.twitter.com/bgJ0xrDPMS
— Hideyuki Tokigawa／時川 (@tokigawa7) 2019年6月29日